いきなりですが。
んとね、この間の野島先生の授業の時に書いたSS(の修正版)を載せてみようかと。
ちなみにテーマは「嬉」でした。
嬉しいって気持ちを「嬉しい」って言葉を使わずに書きなさい、っていう課題。
評価はA~Cの中で「C」だったのでアレなんですが(汗)、以前から私なんかの小説を読んでみたいと言ってくださっている方もおられましたので…。
一応ジャンルはBLですが、はっきり言ってBL設定にする必要があったのか、ってくらいBL度薄いので、男性の方でも大丈夫…のはず(汗);
かなりヘボヘボでダメダメなモノですが、ご意見ご感想いただけると凄く嬉しいですー;
ではでは、「読んでやるよ!」って太っ腹な方は続きをどうぞ。
君の声と、足音と、
今の時間は午後一時三十五分。
待ち合わせの時間が一時だと思っていたのは、気のせいだっただろうか。
俺は視線を腕時計に落として深いため息をつくと、うざったく伸びた前髪を掻きあげた。
アイツとの待ち合わせで待たされるのはいつものことだ。毎回、必ずと言って良いほど十分、十五分と遅れてくるのだから。
「けど……」
今日は遅すぎる。遅れると言っても、今までは最低でも三十分以内には来ていたし、それ以上遅れる時には必ずメールか電話があった。
けれど、今日はもう四十分が経とうとしている。メールも電話も、ない。
今、俺がいるこの広場は、多くの人が待ち合わせに利用する場所だ。
俺がここに来てから、どれだけの人がこの場で約束の相手に会い、楽しげにこの場を去って行っただろう。
足音が近付くたびに顔を上げ、その足音がアイツのものでないことが分かるとまた俯く。
耳には、揃って鳴る二つの足音と、楽しげな笑い声。
ずっとその繰り返しだ。そして、同じことを繰り返すたび、不安が大きくなる。
アイツに何かあったのではないか。
どれだけ待っても来ないのではないか、と――。
心の中に黒い不安が増えていく中、また一つ足音が聞こえた。どうせまた違う人だ。そう顔を上げる気にもなれなくて。
けれど。俯く自分の元に降ってきた声は、ずっと待ち続けていた人のものだった。
「悪い、遅れた! 連絡しようと思ったんだけど、携帯忘れてきちゃってさ」
焦った様子で謝る、ずっと待っていた相手の姿。いつもと変わりない、姿。
「……ばか」
溢れる笑みを押さえられないまま、相手に、そして心配性な自分に向けて呟いた。
fin.
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