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「私がいなくなっても貴方は悲しまないね」 シーツにくるまって背中越しに呟く君に、 「そうだね」 その一言は言わず、 ただ髪を撫でた。 君は何も言わなかったね。 「どうして否定してくれないの?」 と悲しみを向けることも、 「否定してよ」 と怒りをぶつけることもせず、 ただ、 静かに僕の手に撫でられていた。 「私がいなくなっても貴方は悲しまないね」 真っ白な部屋の、真っ白なベッドに横たわりながら、 君はそう言って微笑んだ。 僕は何も言えなかったよ。 「悲しくないわけがない」 と悲しみを伝えることも、 「どうしてそんなことが言えるんだと」 と怒りをぶつけることも、 何も出来ずにただ、 溢れそうになる涙を堪え、 君の髪を撫でていた。 人は失うと知った瞬間、 初めて“大切”なモノだということに気付く。 そんな愚かな生き物なのだ。 PR COMMENTS
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